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堀絋一著 会社が放り出したい人 1億積んでもほしい人

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    題名に惹かれた事もあり、文庫本で購入した、堀絋一さんの書籍です。

    日本のサラリーマン社会の特殊性を浮き彫りにしているところが読んでいて結構痛快でした。特に大企業といわれる会社の中で普通に起きている事が少し外から冷静にみると、すごく不思議でおかしな事がたくさんあるという事が他人事ではなく共感できます。

    非常に面白かったのが序章から第1章でした。

    戦後、アメリカの民主主義を導入してできた日本のサラリーマン社会は、世界の中で見るとかなり特殊な部類に入っているというのが著者の見解です。

    そもそも、その民主主義を獲得するために、その時代の世界のあらゆる国々の民衆が実際に血を流し、革命を起こして勝ち取っていくというプロセスを経ているのに対して、日本の場合は終戦によりアメリカの民主主義をそのまま押し付けられた訳です。したがって日本は、能動的に民主主義を勝ち取っているわけではないので、その事について真剣に考えたり、その価値もさほどわかってないのではないか、という事です。

    またアメリカの民主主義を受け入れるとともに、この対極にある共産主義の思想も同時に受け入れているというのです。当然、戦勝国のアメリカの思想を鵜呑みにするのに抵抗した層がいたことも理解できます。

    この世界に類を見ない対極の思想を併せ持ったまま、日本は朝鮮戦争の後に空前の高度経済成長を遂げていきます。

    その中で日本の会社も世界の標準からは逸脱した独自の進歩を遂げていると著者はいいます。つまり、会社はだれのものか、という視点で考えると欧米的には株主の物という考え方ですが、日本の場合は会社どうしが株式を持ち合うことにより、会社というものの所有権があいまいになったまま今日まで来ているという事のようです。

    また、共産主義的な思想も持った日本の会社は、いわゆる平等思想もあるために、能力に応じた給与配分ではなく、社長も平社員も欧米からするとあまり格差の無い給与体系になったといいます。

    こういう中で、誰も不平を言わない年功序列型の給与体系や人事制度が根づいて今日まで至っているのです。高度経済成長の中、右肩上がりの時代はこれが最適解だったのでしょう。

    実際に、会社の言う事、上司の言う事を聞いていれば出世できたし給料も上がった。部長までは本人のがんばりと能力に応じて出世する事ができた。しかし、部長まで行くとそこでとたんに能力を発揮しなくなるという。次のステップである役員を狙うとなると、もう能力の世界ではなく社長や他の役員の印象だけで決まってしまう世界になります。そこで部長は”サナギ”になって、とたんにおとなしくなってしまうというのです。

    つまり、いままでは”幼虫”の状態でいろいろと会社の為に積極的にごそごそと動き回っていたのに、部長という役職を得てしまうとそこから先の自分の出世の事を考えて、波風立てずに上の言う事を聞きながら役員へのチャンスを伺うおとなしい”サナギ”になって会社にぶら下がるという訳です。

    かくいう私自身も、部長の一歩手前の役職にいるのですが、自分の部署や他の部署の部長を見るに、なんでこんな人が部長になってるの?という方がかなり多くいます、というかほとんどの部長がそのような感じなので、この堀さんの分析には賛同せざるをえません。もちろんその部長の中には過去に(幼虫時代に)輝かしい?実績を残している方もいますが・・・。

    このようなプロセスを経て、ラッキーにも役員になれた部長は、かつての長いサナギ時代の習性が抜けずに、なにも自分で決断できない人が多いと、堀さんの経験からは言えるらしいです。

    要は、このような社内力学に元ずいた人事を行ってきた会社が、これからは当然のごとく世界のビジネスの中で生き残っていくのは難しいし、そうなったときにサラリーマンはどうすべきか、という事が第2章以降に述べられています。

    ここから先は実際に書籍を読んで頂くとして、私としては、この本が書かれたのが2004年11月というところに衝撃を受けています。私が働く会社も世間では名の知れた大企業なのですが、いまだにこのような人事がまかり通っていますし、業務遂行能力やビジネススキルに応じた待遇になっているかというと全くそうはなっていないと実感しています。当然ビジネス判断はスピード感もないし、適切は判断とは思えない時も多々あるように感じています。

    実際私も、しばらく前までは、そのような会社に対する愚痴や、上司である部長や本部長に対する愚痴を言っていましたが、そんな事を言っても何も変わらないし、自分のスキルや待遇ももちろんアップしない事がよくわかってきました。会社が大きくなった事の弊害、いわゆる大企業病をひしひしと感じています。

    自分は、愚痴を言い続けながら今の会社にとどまるつもりは全くなく、次のステップを具体的に模索し始めています。

    同時に、自分が働くこの大企業はいつか終焉を迎えるのではないかという危機感を持っていますが、この解決策は見当たらなく、しいて言えば、企業家のマインドを持った、本当に優秀なリーダーを選別し、完全に分社化、解散して、若いリーダーに任せて今一度ベンチャースピリットで再出発したほうがよほど社会の為になるのではないかと思ってしまいます。

    今回は、書評からはかなり逸脱したコメントで申し訳ないのですが、このあたりの私の意見は別の機会に述べたいと思います。

    現在、みなさんが所属する会社の中で、ビジネスパーソンとして会社の戦略や上司の意向になにか違和感を感じていたり、それなりのポストにありながら将来が見えてこないという不安を抱えているマネージメントクラスには是非読んで欲しい本だと思います。

    また堀さん自身もドリームインキュベーターという会社を立ち上げた経緯も書かれており、独立志向の強い人にも非常に参考になる本だと思います。

    ちょっと古い本ですが、お勧めの一冊です。

    目次

    序章 人生の計算が狂ったエリートたち
    第1章 いままで出世した人・しなかった人
    第2章 会社がほしい人・いらない人
    第3章 これから出生する人・しない人
    第4章 一億円プレーヤーになるための訓練
    第5章 リーダーシップを鍛える方法





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